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カードローンで借り入れ可能な目安は年収三分の一の嘘ホント

給料・年収

カードローンやキャッシングで借りられる金額について調べていると「年収の3分の1まで」というデータをよく見るでしょう。これは、貸金業法の中にある「貸金業法第13条の2第2項の規定」というルールによるものです。

そして、この「年収の3分の1まで」というのは、半分本当で半分嘘といえます。その理由を説明します。

貸金業法第13条の2第2項の規定はあくまで「法律的」な上限

貸金業法第13条の2第2項の規定は「これ以上は、絶対に融資してはいけない」という、法律的な上限です。これを超えたらヤミ金などと同じく違法業者とされてしまうわけですね。過剰融資ということです。

つまり「法的にギリギリな金額」が年収の3分の1であって、その金額(年収の3分の1)まで、誰でもキャッシングできるというわけではないのです。

実際に3分の1まで借りられる人は少ない

実際、キャッシングの審査を通過しても、借入可能金額年収の3分の1まで設定されるという人は、ほとんどいないのです。たとえば年収300万円の人だったら、この「年収の3分の1」という計算からいけば、いきなり100万円のキャッシング枠がもらえるはずです。

しかし、実際には消費者金融の初回のキャッシングでは、50万円を超える借入枠をもらえることは、基本的にありません。50万円すら難しく、大抵は10万円~30万円になるものです。

(その人の年収や勤続年数・職場やクレジットヒストリーなどによるので、一概には言えませんが)

大体は10分の1~5分の1

では、実際にもらえる与信枠はどのくらいになるのかというと、これは年収の3分の1ではなく、10分の1~5分の1程度…と考えて下さい。つまり年収300万円の人だったら、30万円から60万円程度ということです。妥当な金額ですよね。

大体、年収300万円の人が100万円を借りたら、その後の返済で相当苦労するというのは、容易に想像できるでしょう。年収の3分の1という法律的な上限は、本当に「ギリギリのギリギリ」のラインであって、実際にこれだけ借りるというのは相当危険なことなのです。

初回の融資は「10分の1」が多い

特にその人が初めてキャッシングするという場合には、借入可能金額は「年収の10分の1」に設定されることが多いです。その人の年収別に金額をまとめると、下のようになります。

  • 年収100万円…10万円
  • 年収200万円…20万円
  • 年収300万円…30万円

極めて妥当な金額ですよね。年収100万円ということは、月8万円か9万円しか稼いでいないわけです。大学生でかなりバイトをしている人であれば、このくらいは稼いでいるでしょう。

つまり、年収100万円というのは「大学生のアルバイトレベル」の収入であり、そうした人なら「10万円以上の借金が危険」というのは、一般的な感覚で納得できるかと思います。

もちろん、ある程度借入・返済の実績を積んだ人であれば、もう少し信用してもいいでしょう。なので、あくまで「初回は」ということですが、これから初めてキャッシングをするという方は、このくらいの与信枠になるという参考になさって下さい。

銀行カードローンは年収の3分の1以上OK?

貸金業法第13条の2第2項の規定というのはそもそも「貸金業法」のルールです。貸金業法は消費者金融などの貸金業者を取り締まるための法律なので、銀行カードローンは対象外となっています。このことから「銀行カードローンだったら、年収の3分の1以上キャッシングすることも可能」ということが言われていますが、これもやはり半分本当で、半分嘘であるといえます。

法律的にはOKだが、実際にはほぼ不可

これもやはり消費者金融の「年収の3分の1までキャッシング可能」というのと同じですが、それはあくまで法律的な上限であって、実際に借りるのは難しいということです。つまり、法律的には銀行カードローンでは「年収の3分の1以上借りることも可能」なのですが、実際にはそれだけ信用してもらえる利用者は少ない…というわけです。

高収入・一流企業などのケースで可能

例外的に年収の3分の1以上借入可能となるのは、下のような条件に該当する方です。

  • 収入が高い(年収1000万円以上など)
  • 東証1部などの一流企業に勤めている
  • これまでのクレジットヒストリーが非常にいい

このように、条件を書き出すといくらでも出てきますが、要は「この人だったら、年収の半分融資しても、問題なく回収できるだろう」と銀行カードローンの側が判断すれば、OKになるということです。

特に高評価なのは、公務員のキャリアでしょう。年収が高い上に、クビになったり減給になったりするリスクがほぼ皆無なわけですから、多少時間がかかっても、年収の2分の1くらいのキャッシングなら、返済できる可能性が高いためです。

このような例外はありますが、基本的にはやはり、銀行カードローンであろうと年収の3分の1以上の借り入れをすることは難しくなっています。実際、それだけの高額借入をするのは本人のためにならないので、借りられない方がいいと言えるでしょう。

「貸金業法第13条の2第2項の規定の範囲外(例外・除外含む)」は専業主婦のためのルール

銀行カードローンが貸金業法第13条の2第2項の規定の範囲外(例外・除外含む)となっているのは、そもそも家庭に入っている女性など収入自体がない人のためのルールであって、年収の3分の1以上借りるためのルールではないのです。返済計画の再編などは、例外的に「年収の3分の1以上借りる」ことがどうしても必要なので、この場合は「年収の3分の1以上」という数字のために、銀行カードローンが貸金業法第13条の2第2項の規定の範囲外(例外・除外含む)になっているといえます。

しかし、その他の普通のキャッシング(返済プランの再編ではない)について言えば、「貸金業法第13条の2第2項の規定の範囲外(例外・除外含む)」というのは「年収自体がない、家庭に入っている女性のため」のルールに等しいのです。明確にそう金融庁が言っているわけではありませんが、実際的にはそうだと思って下さい。

(貸金業法第13条の2第2項の規定のルールをそのまま適用すると、専業主婦という一つの職業をこなしている方々が、まったくキャッシングをできなくなるわけですからね)

なぜ「年収の3分の1」になったのか

そもそも、貸金業法第13条の2第2項の規定の上限金額はなぜ「年収の3分の1」になったのか。これは貸金業法改正時に、金融庁が統計を取って「年収の3分の1まではギリギリ大丈夫」という計算になったからです。逆に言えば「年収の3分の1以上借りると破産のリスクが高い」と、金融庁が太鼓判(悪い意味の太鼓判ですが)を押したということです。

年収の3分の1以上借りることは、極めて危険

このような金融庁の統計から見ても、万が一年収の3分の1以上キャッシングすることができたとしても、それを受け入れることは極めて危険だといえます。その人がどれだけ高収入を得ていたとしても、です。

たとえば年収1000万円の人が、銀行カードローンから「500万円」を借りたとしましょう。年収の「2分の1」ですね。

しかし、これを返済するのにどのくらいかかるでしょうか。サラリーマンの年収というのは「税込み年収」のことなので、手取りとはまったく違います。手取りでいうと、年収1000万円というのは大体「600万円~700万円」程度なのです。

つまり、この状態で500万円キャッシングするというのは「ほぼ10ヶ月分のお給料を借りた」のと同じなのですね。これから返済していくために「10ヶ月タダ働きをする」というのと同じなのです。そう考えると、「年収の3分の1以上の借り入れ」というのが、いかに危険かわかるでしょう。

現時点でお金がないなら、将来もお金がない

これはかなり厳しい見方ですが、そもそも現時点でお金がないからキャッシングが必要になっているということを、忘れてはいけません。つまり、その人が今の生活を続けようとする限り、「年収が500万円だろうが1000万円だろうが、足りない」ということなのです。

ただでさえ、今の年収では足りていない所に、さらに毎月借金の返済が加わるわけです。今でさえ厳しいのに、それがさらに厳しくなるということですね。そう考えると、年収の3分の1どころか、5分の1程度でも危うい…ということがよくわかるでしょう。

(10分の1程度だったら特に問題ないと思いますが)

置かれている状況によっては、確かに「できるだけ高額キャッシングをしたい」ということもあるでしょう。特に個人事業主・自営業の方々などが資金繰りのピンチを切り抜けるという時には、100万円や200万円の高額借入が必要になる、ということがよくあります。

なので、そのようなケースであれば仕方ないとは思いますが、そうでない個人の消費などでの借り入れの場合は、極限まで小さい金額で借りるようにすべき、と言えるでしょう。

(そして、そもそもの根本的な収支のバランスn乱れを改善するための努力も必要です)

与えられた借入枠は、必ず受け入れる

クレジットカードでもカードローンでも、借入審査で与えられた与信枠というのは、自分の信用度を示しているので、金額が大きいとやはり気持ちが良くなります。逆に少額借り入れしかできない与信枠になると「何でこれだけなんだ」と怒る人もいるかも知れません。

しかし、こうした借入可能金額の設定については、銀行カードローン・消費者金融の側がプロです。百戦錬磨の金融のプロが「この人の年収やクレジットヒストリーだと、この程度の借入枠」と判断して決めた数値ですから、それを信用すべきなのです。

キャッシングの利用者の方々の多くは、「自分の金銭感覚はしっかりしている」と思っています。しかし「そうでないから借り入れが必要になった」という事実は、直視する必要があります。どんな想定外のことがあったにせよ「想定外のことに備える」というのも、金銭感覚のうちなのです。

そのため、借り入れが必要になっている時点で、自分の経済環境はあまり頼りにならないと思って下さい。そして、その道のプロである消費者金融・銀行カードローンやクレジットカード会社が決めた金額については、「まずそれが妥当である」と考えて下さい。

年収の3分の1以上の借り入れ・まとめ

以上、カードローンで借りられる金額は年収の3分の1までという情報について、その真偽(一部事実で、一部違うということ)をまとめてきました。消費者金融にしても銀行カードローンにしても、要は理論的には年収の3分の1まで、あるいはそれ以上借入可能だけど「実際には無理なことが多い」ということです。

これは陸上競技と同じで、理論的には人間は100mを10秒台で走れるわけです。陸上の短距離の選手は、みんなそのくらいのタイムを出しているわけですから。

しかし、実際には人間のほとんどは、言うまでもなく100mを10秒台で走ることはできません。このように「物理的に可能であること」と「実際に自分ができるか」ということは、まったく別なのです(かなり極端な例かも知れませんが)。

何はともあれ、最終的にはその人にふさわしい、問題なく返済できるレベルの与信枠が与えられる…ということで理解して下さい。

金融機関側は融資したがっている

もう一つ、重要なことを理解していただきたいですが、そもそも銀行カードローンにしても消費者金融にしても、彼ら金融機関の側はお金を貸したくて仕方がないわけです。仕方がないというと少々大げさですが、要は「彼らにとっては、貸し付けて利息をもらうことがビジネスなのだから、本当は融資をしたい」わけです。

にも関わらずキャッシングの審査に落ちたり、あるいは借入枠が小さくなった…。ということは「客観的に見て、それがその人の実力」ということなのです。たくさん貸したがっているキャッシング業者や銀行カードローンの側が、小さい借入枠を設定したのであれば「たとえ自分から少額に感じられたとしても、それ以上借りたら間違いなく危険」ということなのです。

酔っぱらいの方はよく「俺は酔ってないぞお~」などといいますが、自分はもっと高額キャッシングをできるはずという思い込みも、これと同じ客観性を欠いた行為・考え方というわけですね。

別にキャッシングに限らず、借入枠に限らず、人間は随所でこういう「思い込み」をするものです。ドラッカーが口癖のように「表の風に吹かれよ」と言っていたのは、「自分の思い込みに閉じこもるのではなく、外に出て、現実に揉まれて現実を直視せよ」ということです。

そういう意味では「思っていたよりキャッシング可能な金額が小さかった」というのも、客観性を鍛える上で、いい機会になるでしょう。

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