キャッシングはいくらまで借りられる?年収の3分の1?
「キャッシングでは、年収の3分の1まで借りられる」という情報を、聞いたことがある方も多いでしょう。実際、法律的には確かにそのような上限になっています。
これは、貸金業法第13条の2第2項の規定というルールによって決められているものですが、実際にはキャッシングでいくらくらい借りられるものなのか、解説していきましょう。
消費者金融は年収の3分の1まで借入可能か
消費者金融は貸金業法で管理されているビジネスなので、貸金業法第13条の2第2項の規定の影響を受けます。つまり、法律的に年収の3分の1以上借りることはできません。逆に言えば法律的には、消費者金融で年収の3分の1までキャッシングすることが許可されているというわけです。
あくまで法律的な上限金額
一応、理論的には上に書いた通り「年収の3分の1まで借入可能」ということになります。しかし、これはあくまで「法律でそこまではOKとされている」というだけであって、実際にすべての消費者金融が年収の3分の1まで貸し付けしてくれるかというと、それはかなり難しい…というのが実情です。
相当な信用度がないと、年収の3分の1まで行かない
年収の3分の1というのは、実はかなり大きい金額です。簡単に言うと、4ヶ月タダ働きするのと同じです。こう考えると、すぐに大金であることがわかるでしょう。
たとえば年収300万円の人が100万円キャッシングをするということですが、どう考えても、完済まで相当苦労することが想像できます。年収300万円ということは、月収は25万円程度なわけですから、返済に回せるのはせいぜい「月5万円」です。利息がまったくゼロだったとしても、20ヶ月かかるわけです。約2年ですね。
実際には当然、「100万円にかかる利息」という大きな負担があるので、大体年収300万円の人が100万円を完済するのは、4年か5年後になります。そのくらい、年収の3分の1というのは大きい金額なのです。
(自営業・会社代表者の方々などで、一時的に爆発的に稼げる力を持っている方であれば、どこか調子のいい時に一括返済する…ということも可能ですけどね。会社員・OL・公務員やパート・アルバイト・フリーターの方々だと、大体4年程度はかかると思って下さい。)
初めてのキャッシングだと、50万円まで
特に初めてのキャッシングをする場合は、借入可能金額は50万円で止まる…ということが多いです。50万円もらえればいい方で、大体は10万円~30万円です。
- 学生…10万円
- フリーター…10万円~30万円
- 会社員…30万円~50万円
このようなキャッシング枠が、大体の目安だと思って下さい。学生でも最初から30万円の借入枠をもらえるということもありますが、それはかなり例外的なケースです。ほとんどは10万円からスタートします。
こうして見ると、正社員として働いている会社員・OL・公務員の方々でも、年収の3分の1はおろか、50万円の借り入れすら難しい…というのがわかっていただけるでしょう。
銀行カードローンなら年収の3分の1以上OK?
年収の3分の1までというのは「貸金業法第13条の2第2項の規定」のルールです。この貸金業法第13条の2第2項の規定は「貸金業法」のルールです。ということは、銀行法で管理されていて、貸金業法の影響を受けない銀行カードローンについては、年収の3分の1以上借りられるというわけですね。これも「理論的には」ですが。以下、この点を説明していきましょう。
消費者金融と同様、実際には難しい
結論は大体想像がついていたと思いますが、やはり消費者金融と同様、銀行カードローンでも年収の3分の1以上の金額を借り入れするというのは、かなり難しくなっています。そこまで借りられる人は、いることはいるのですが、めったにいないと考えて下さい。理由を箇条書きすると下のようになります。
- 年収の3分の1以上借りたら、相当な高年収でないと返済できない
- しかし、何でそんな高年収の人が、借り入れをするのか?
特に重要なのは2つ目です。つまり何か根本的に怪しいということですね。簡単に書くと。
たとえば年収の半分借りるとすると、年収1000万円の人なら、500万円借りるということです。年収1000万円あれば、確かに500万円でも返済できるような気がします。(年収300万円の人が150万円を返済するより、だいぶ楽な感じがしますね)
しかし、消費者金融にしても銀行カードローンにしても、そう簡単に申込者を信用することはないのです。「何で、それだけの高収入がありながら、500万円も借り入れが必要なのか?」と思うわけですね。少し考えれば、誰でもそう疑うでしょう。
そして、理由を調べると大体下のようなパターンになります。
- 離婚の慰謝料
- 浪費(生活の全てで高級なものを買う)
- 投資の失敗
- 夜遊び(キャバクラ嬢につぎ込むなど)
- 住宅ローンの返済の行き詰まり
…と、理由を書くとまだまだあるのですが、何にしても「高収入でも借金が必要になるくらいだから、かなり危険」という理由が並ぶわけですね。なので、たとえこのような高い年収がある方でも、結局年収の3分の1以上借りるというのは難しいのです。
どういう人なら借りられるのか?
では、どのような人だったら、銀行カードローンで年収の3分の1以上借り入れすることができるのか。あくまで一例ですが、下のような条件を満たしている方は、可能性が高まるでしょう。
- 長年その銀行をメインバンクとして使っている
- 公務員など「クビにならない」職業である
- 退職金が高額であることが確定している
- これまで借金の遅延・延滞をしたことがない
- 不動産や自動車などの担保を持っている
- 社会的に信用がある人である(知名度の高い学者など)
- 他社借入がない
- クレジットカードの保有枚数も少ない
これも書き出すといくらでもあるのですが、このような条件を満たせば満たすほど、年収の3分の1以上キャッシングできる確率は高まっていきます。
「クレジットカードの保有枚数」というのが少し意外かも知れませんが、クレジットカードが少ない方が、浪費もしにくくなるので、破産のリスクが低いと予想できるわけですね。
むしろ銀行カードローンの方が厳しい?
ここまで書いた通り、銀行カードローンだったら「クレジットスコア(信用度)が高い人」だったら、年収の3分の1以上の高額キャッシングをすることも、理論的には可能です。しかし、逆に銀行カードローンの方が、高額借入はしにくいという見方もあります。
理由は「銀行カードローンは低金利なので、少しの貸し倒れも出す訳にはいかない」ということ。消費者金融は高金利なので、多少返済不能になる人がいても、「その人の出した損失をカバーできるだけの利息を、他の利用者から確保している」ということですね。(つまり、他の利用者は損をしているわけです。税金みたいなものですね)
一方、銀行カードローンは「一人あたりの利息」が少ないので、この「税金」があまり取れていない状態です。そこで誰かが貸し倒れになってしまうと、その損失をカバーできないわけです。
(できなくはありませんが、消費者金融より難しいわけです)
そのため、銀行カードローンは消費者金融よりも、審査を全体的に厳しくせざるを得ない。それでキャッシング枠についても、自然と金額が少額になる、という考え方です。
これは一理あって、確かに「消費者金融より、借入枠が小さくなる」という銀行カードローンはたまにあります。しかし、基本的には「消費者金融でも銀行カードローンでも、与信枠についてはそれほど変わらない」と考えて下さい。
貸金業法第13条の2第2項の規定の範囲外(例外・除外含む)の借り入れの種類
ここまでは、銀行カードローン・消費者金融両方の貸金業法第13条の2第2項の規定について語ってきました。ここからは、そうした貸金業法第13条の2第2項の規定の影響を受けない、いわゆる「貸金業法第13条の2第2項の規定の範囲外(例外・除外含む)」の借り入れについて、解説していきましょう。
専業主婦のキャッシング
専業主婦の定義はいろいろですが、キャッシングの世界では「パート・アルバイトすらしていない、家庭に入っている女性」を指します。貸金業法第13条の2第2項の規定があると、自分の収入がない女性は借り入れができません。「年収の3分の1」の「3分の1」の部分ではなく「年収」の部分が問題になるわけですね。年収自体がないので、3分の1だろうが5分の1だろうが、1円も借りられないということです。
しかし、実際には専業主婦も一つの職業ですし、その借り入れを封じてしまうと、専業主婦がヤミ金でお金を借りるなどして、社会的な問題が起こります。そのため、家庭に入っている女性でもお金を借りられるように、金融庁が配慮したんですね。
それによって生まれたシステムが「配偶者貸付f です。夫婦の収入を合計して、その3分の1までキャッシングできるようにしたというものです。
配偶者貸付は中小の消費者金融などがやっていますが、アコム・SMBCモビット・ノーローンなどの大手の消費者金融はやっていません。そこまでして利用者を集めなくても、大手ということで、十分申込者が殺到しているからでしょう。
返済計画の再編のための融資・借入先変更のための融資
借入先変更のための融資や返済計画の再編のための融資も、貸金業法第13条の2第2項の規定の範囲外(例外・除外含む)となります。理由は、借入先の変更・返済計画の再編をするには、どうしても年収の3分の1以上借りる必要があるからです。
特に返済計画の再編がそうですが、返済計画の再編が必要になるような多重債務者の方々というのは、当然「もう年収の3分の1まで借りている」わけです。
そして、返済プランの再編というのは下のような手順でやります。
- まず、現時点での借入総額を計算する
- それと同額を、追加で借りる
- (この時点で、年収の3分の1の2倍を借りることになる)
- それを使って、今の借り入れを全額返済する
- 追加借入した所だけが残り、これで返済計画の再編となる
このような流れなので、どうしても年収の3分の1の2倍のキャッシングが必要になるのです。ということは、貸金業法第13条の2第2項の規定を超えるしかないわけですね。
借入先の変更も同じです。「今借りている金額と同額を、よそから借りてこなければいけない」ということで、これも貸金業法第13条の2第2項の規定の範囲外(例外・除外含む)でなければ成立しないのです。そのため、借入先変更のための融資も返済計画の再編のための融資も、両方「消費者金融であっても貸金業法第13条の2第2項の規定の範囲外(例外・除外含む)」となります。
(銀行カードローンは最初から貸金業法第13条の2第2項の規定の範囲外(例外・除外含む)なので、借入先の変更・返済計画の再編にしても、わざわざ専用のコース・プランを用意しません。新生銀行カードローン レイクは別ですが)
ビジネスローン(事業ローン)
事業性資金の借り入れは、通常のキャッシングでは禁止されています。しかし、当然ながら事業用の融資というのは日本経済を支えるために重要ですし、個人の借り入れよりも遥かに切羽詰まったものが多いです。(何しろ、従業員も含めて多数の人の人生に関わるわけですから)
ただ、事業性資金ということは当然数百万円レベルの借り入れが多く、貸金業法第13条の2第2項の規定の範囲内では確実に足りません。そのため、消費者金融が提供するビジネスローンでも、返済計画の再編のための融資等と同様「貸金業法第13条の2第2項の規定の範囲外(例外・除外含む)」となっています。
最高限度額については、アイフルのビジネスローンが500万円まで、アコム・プロミスは300万円までとなっています。この金額の違いは、借入先の変更・返済計画の再編の時と同じですね。
キャッシングはいくらまで借りられる?まとめ
以上、キャッシングでいくらまで借りることができるか、貸金業法第13条の2第2項の規定やその対象外の借り入れも含めて解説してきました。最後に家庭に入っている女性などの職業・属性別に、借入可能金額を補足します。
専業主婦は最高で30万円か50万円
専業主婦の借入可能金額は意外と大きく、最高で30万円~50万円となっています。ただし、いきなりこの融資枠がもらえるわけではありません。返済実績を積んで、借入枠が増額されていったとしても、これらの金額が上限ということです。それはそうですよね。本人に収入がない以上、天井は最初から見えているわけですから。
もし専業主婦がこれ以上の借り入れをしたいということであれば、自分でパート・アルバイトをして安定収入を得ればそれも可能となります。パート収入がある女性でも50万円が限界ということが多いですが、それは「一つの借入先」であって、「複数の借り入れの合計」だったら、パート収入がある女性でも100万円近く借りられることはあります。
(ただし、相当勤続年数が長くて収入が多く、これまでのクレジットヒストリーも良好という方に限られますが)
個人事業主・会社経営者は厳しくなる
自営業・個人事業主や法人経営者・会社代表者…というような自ら事業を立ち上げている方々については、やはり審査が厳しくなります。これはご自身が日々の生活や仕事の中で百も承知されていることでしょう。
しかし、事業者ならではの強みもあって、個人のキャッシングとは別にビジネスローンも利用することができるというのはメリットです。その合計で言えば、借入可能金額は軽くサラリーマン・OLの方々を上回るでしょう。
もちろん「キャッシングができれば偉い」ということではないですし、たくさん借りたら返済の負担も当然大きくなります。なので、「本当に必要な金額」だけを借りる必要がありますが、選択肢が広いという点では、むしろ自営業・法人経営者の方々の方が、会社員・OL・公務員の方々よりも有利かも知れません。
(キャッシングの借り入れに限らず、人生のありとあらゆる局面で、事業者の方が選択肢が広いんですけどね)